初めての恋のお相手は

「……へ、変な人に、追われて…」



張りつめていた緊張の糸が少し緩んで
じわりと瞳に涙がにじむ。

震える声で、言葉を絞り出せば

その人は、私から視線を外して
コンビニの外を確認するように見つめる。

私は怖くて、同じように
窓の向こうを確認することが出来なかった。



「……あなた、一人暮らし?」

「………はい」

「家までついて来られたら面倒ね」



その人は、考えるようにあごに手を置いて
それから、ポケットからスマホを取り出した。



「ここで、少し待っててくれる?」



イートインスペースの椅子に私を座らせると
その人はコンビニの外に出ていって

私の姿が確認できる場所で
誰かに電話をかけ始めた。



電話を終えて、数十分後。



誰かと合流したその人は
また、私の所へ戻ってきた。



「とりあえず、移動しましょうか」



いまだに震える私に
安心させるように笑顔を向けて


そう言いながら、私に手を差し出した。