初めての恋のお相手は

「祠堂さん、ありがとうございました」

「いいえ」



警察署を出てすぐに
付き合ってくれた祠堂さんに
ぺこりと頭を下げる。

祠堂さんは「大したことはしてないわ」と笑った。



「良ければ連絡先を教えて貰えませんか?
改めてお礼をしたいので
こゆさんと、スグリさんにも」

「言ったでしょう?私が勝手にしたことだもの
これ以上、お礼なんていらないわ
あの子達もいらないって言う」

「…でも」

「それより、楸
家に戻るなら、送るわ」

「え?でも…」

「まだ、不安でしょう?」

「…」



平静を装っているものの
内心は気が気じゃなかった。

いくら日常茶飯事とはいえ
こんなの、いつまで経ったって慣れるはずもない。

この後の事を考えたら
ひとりになるのが、心細かった。

まだ、誰かと一緒にいたい。

その気持ちは、確かだった。



黙り込んだ私に、祠堂さんは柔らかく言う。



「送らせてくれるかしら?」

「……お願いします」