初めての恋のお相手は

傑さんは、笑って私に問いかける。



「覚えてる?
俺が楸の恋人役に立候補した時の事」


「あん時には、もう
祠堂さん、完全に楸の事
好きだったよな」


「めっちゃ分かりやすく
俺の事、牽制するし…」


「祠堂さんの好きな奴なら
取ったりしねーのによ。後が怖いし」



……あの時、傑さんは
何事もなかったかのような態度だったけど

祠堂さんのあの振る舞いに
感じるものはあったみたいで

ため息をつくと
頬杖をつきながら、文句を言う。


そして、急に真面目な顔で私に忠告してきた。



「楸。あの人、結構重いから気を付けろよ」

「…あの、それ
こゆさん達にも言われたんですけど
重いって、具体的にはどういう…」



詳細を聞こうとしたけど
休憩室の入口から、顔を出したこゆさんが
傑さんに声をかけて



「傑、スグリが呼んでる
「タダ飯食ったなら、皿洗いしろ」って」

「まじ?
スグリさんに頼られたら行かねーとな!」



こゆさんの言葉を
都合の良いように脳内変換して
傑さんは、嬉々として椅子から立ち上がる。



「んじゃな、楸
あんま、祠堂さん煽ったりすんなよ
やばいから」



そう言い残して
傑さんは足早にその場から去っていった。



「…」



……結局、よく分からなかったな。