初めての恋のお相手は

……分からない。



……………分からないよ。



涙目になりながら
落ち着かない感情をなだめるように

ひたすら走って、走って…


体力が尽きて、次第に歩みが遅くなる。


気づいた時には
私はアーケードをフラフラ歩いていた。


金曜日から土曜日へ変わったばかりの街には
夜も遅い時間帯にも関わらず
それなりに人がいた。


大半が残業終わりの社会人だろう。

疲れた顔をした人達が
お酒を求め、店に入っていく姿が目立つ。


そんな人達をぼんやり眺めて
私はまた、うつむきながら歩き出す。



「…」



……どうしよう。


少し、頭が冷静になった私。


人も、昼間ほどはいないし
店のあかりで、周囲も明るいとはいえ

こんな時間に
私ひとりで出歩くのは無用心だ。


……かといって、今
祠堂さんの所に戻るには
私の気持ちの整理が追い付いていない。


どこかのお店で一夜を明かそうにも
部屋着のまま、飛び出してきたから
お金も持ってない。


季節がら、寒さで凍えるなんてことはないけど
それでも、朝晩は寒いし…


なにより
朝まで外で、ひとりで過ごすのは怖かった。