初めての恋のお相手は

「白木さんが
こういった迷惑行為を受けるのは
これが初めてではないんです」


「数年前から
白木さんは様々な被害を受けています」



林田さんの言葉に
祠堂さんは目を見開いて、私を見た。



「…楸、あなた…」

「…」



私は変わらず無言で、力なく笑う。



そう。警察にお世話になるなんて日常茶飯事。


いつもは、家の近くにある交番の
渡瀬さんに、色々話を聞いて貰ったり
対応して貰っていた。

渡瀬さんは本当に親身になって
力を尽くしてくれているけど

中々、こういった行為はおさまらず。



「おそらく、原因は…」



ちらりと、林田さんは私を見る。

その視線から逃れるように、私はうつむいた。



「ご覧の通り
白木さんは人目を惹く容姿なので」



その言葉は、私の心に重くのし掛かり
胸の中にある、もやもやを助長させる。


美醜を問われれば、『醜』ではないと思う。

だけど

誰かに執着されるほどの『美』を
持っているつもりはない。


でも、みんな、口を揃えて言う。


『あなたは特別だ』と。


他人(ひと)から見た自分は
とても恵まれた姿形をしているらしい。