日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

京浜目黒組の社長は、社会経験のために代々この高校でヤンキーになっていた。将来会社を治める者になるのだから、多少やんちゃするくらいがちょうどいい、人を支配することを学べって考えで、人を殺すこと以外なら大抵許されるんだよ。


そして代々学校行事で与えられるトロフィーを勝ち取っていて、僕もそれを期待されているんだ。


この高校でも強い男として名を馳せた父さんは、自分由来の不妊に悩まされながら社長に就任すると、そのときは就職氷河期、日本を維持するためには人々が家庭を持てるようにしなければと考え、新卒の採用を絞らず、就職で不利だった女性を特に採用した。


そして女性社員が社内の男性と結婚すれば、その男性の昇給を永久に保証する、女性社員が自分の子を妊娠すれば、まとまったお金と母子の生活費を永久に保証するという取り組みをしたんだ。


そうして生まれた九人の子どものうちの一人が僕ってわけ。


それを誇らしげに言う目黒に、ここにいるみんなが絶句した。


「建設会社のお坊ちゃんだか知らないが、人にナイフ向けりゃ警察のお世話になるぞ。お前の家では許されても、この社会で通用すると思うなよ」


琥珀は目黒に凄んでみせるけど、目黒は特に気にしていない。


「へーき。だって僕、会社が公共事業も請け負ってるから市長さんや警察署長さんとも知り合いだもん。ちょっとしたことなら警察に捕まるなんてありえないよ」


目黒は信じがたい発言を軽い調子で口に出す。