日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

大園はヤンキーだが、実はクラスの中ではいじられキャラで、だから今こんな風に私のことを茶化されているのだ。

体は大きいが鍛えているという話は聞かず、筋トレはしなかったけどラーメン山盛りを食べた、プロテインバーを食べたなど、筋トレをし忘れた話と昨日食べたものの話しかしない。


それとかわいい女子には目がなく、女子の少ないヤンキー高校に入りながらも、ヤンキーとして他校の女子にモテたいと話している。


そんな彼が実際に喧嘩をしているところは見たことがない。おおかたヤンキーが女子にモテると思ってデビューしたファッションヤンキーだろう。


下っ端として我慢を続けてきたが、限度を越えた。


観衆に怒鳴り散らさんとする大園に先んじて、


「ジロジロ見てしまって申し訳ございません。私頭が悪くて授業に集中できず、楽しそうにしていらっしゃる皆様に目がいったのです。気があるなんてとんでもない、とてもお強いあなたを好きになるなんて、私のような人間には役不足です。身分が違いますからね」


私はへらへらして言った。
ヤンキーには役不足の意味なんてわからないだろうし、たとえ気付かれても、意味を間違えていた、なんてとぼければ頭が悪いからと信じてもらえるだろう。


「私のような小さな骸骨女では、大きくて腕っぷしも強そうなあなたには釣り合いません。せいぜいその体を鍛えるサンドバッグにしかなりませんよ」


「サンドバッグ? 大園デブ、体鍛えろってか?」


「はっ!? 藤原テメェ舐めてんじゃねえぞ!」

友達に茶化され、つまらなさそうに聞いていた大園は途端に噴き上がった。