「黒月くん!」 目の前には、縄を解き、蹴りをくらわした黒月くんが立っていた。 「勝てるもんならかかってこいよ」 鋭い眼光で男を睨んでいる。見たことがない迫力に私まで圧倒される。 「お、おい、退散だ!」 男がそう叫ぶと、全員足早に出て行ってしまった。 「…保健室、行こ」 シーンと静まり返った旧体育館に私の声が響いた。