不器用なわたしたちの恋の糸、結んでくれたのは不思議なもふもふたちでした

『おやまあ、これは珍しいのう。ひな鳥ではないか』

『エリカはこいつらと話せないようだが、おれたちとも話せないな。幼すぎるんだ。もう少し成長すれば、そのうち話せるようになるだろうさ』

『コドモ。生まれたて。たくさんいるけどヒトリ』

 ネージュさんたちによれば、この青いヒヨコはやはり幻獣で、しかもこのたくさんいるヒヨコは全部同じ鳥、というか一羽の鳥がばらばらに分かれている状態なのだそうだ。

『数が減ったり増えたりしているから、たぶんおれやトレと同じように異空間を通れるのだろうな。こいつの種族が何なのか分かれば、もっとはっきりするんだが』

『青い鳥といっても何種類もおるでのう。わらわたちの知らぬ種族やも知れぬし』

 そんなことを話している間にも、ヒヨコたちはどこからともなく現れ続けている。

『ヒヨコ、また増えた。たぶん、もっともっとたくさんいる、トレはそう思う』

「数を調整できるのなら、数羽くらいにしてもらえると助かるのだが……」

 ヴィンセント様がそうつぶやくと、ヒヨコたちの数が一瞬にして減った。残った数羽が、ヴィンセント様の頭にちょこんとのっている。すっかりなついている。

『ところで、これらに仮の名をつけてやるというのはどうじゃ? どうせこれらも、ここに居つくのじゃろうし』

 スリジエさんがおかしそうに笑いながら、そう提案してくる。ヴィンセント様の頭の上に乗ったヒヨコたちは、気のせいか嬉しそうに跳ねていた。

 確かに、呼び名がないと不便だ。しばらくみんなで話し合って、仮の呼び名を決める。

「ええと……フラッフィーズ?」

 そう呼びかけると、青いヒヨコたちは一斉に鳴いた。

『どうやら、気に入ったみたいだな。まあ成長すれば、いずれ本当の名を自分で語るだろう。それまでこいつらはフラッフィーズだ』

 名前を呼ばれたからなのか、フラッフィーズの数が一気に増える。あっという間に、わたしたちはフラッフィーズに埋もれていた。

「とてもいい手触りだな。ほんのりと温かくて……」

『おいヴィンセント、毛並みならおれのほうが上だぞ』

「ああ、すまない。そうだな、お前の毛は最高級だ」

 そんなことを話しているヴィンセント様とネージュさんの声を聞きながら、わたしたちを包んでいる青色を見る。今日からこの子も、わたしたちの仲間だ。

 幸せだなあ、と思いながら微笑むわたしの目の前では、柔らかな朝日がゆっくりと昇っていた。