不器用なわたしたちの恋の糸、結んでくれたのは不思議なもふもふたちでした

 そうしてわたしたちは、みんなで空の上にいた。落ちないようにスリジエさんのたてがみをしっかりとつかんで。

「……大丈夫か、エリカ」

 すぐ後ろからは、ヴィンセント様の戸惑いがちな声がする。がっしりした腕がわたしを守るように伸ばされているのが、ちょっぴり嬉しい。

「は、はは、はい」

 うなずいた拍子に、下の光景が目に入ってしまう。さっきまでいた花畑が小さくなって、まるで色とりどりのじゅうたんだ。

 美しいけれど、怖い。思わずひざの上のネージュさんをぎゅっと抱きしめる。

『おい、苦しいぞエリカ。これくらいの高さなら、落ちたとしてもおれがなんとかしてやれる。だから少し落ち着け』

 今は犬くらいの大きさのネージュさんが、そう言って胸を張る。

「ネージュさん、飛べるんですか?」

『いいや。だが、着地ならできる。元の大きさに戻れば、これくらいどうということはない。おまえたちを抱えて、きちんと着地すればいいだけの話だからな』

「エリカ、たてがみから手を離すな。可能な限り、支えてやるつもりだが……」

 ヴィンセント様が、そんな風に声をかけてくる。心配してもらえて、ものすごく嬉しい。

『まったく、お主たちはわらわをちっとも信用しておらんのじゃのう。……と、おやまあ』

 スリジエさんがそう言った時、いきなり世界がぐらりと揺れた。右へ左へ、スリジエさんはふらふらゆらゆらと揺らぎ続けている。

『おい、どうしたスリジエ!』

『すまぬのう。どうやらこの辺りでは、風が乱れておるようじゃ。じきに抜けるゆえ、それまで耐えておれ』

「少しの間、揺れるそうです……きゃっ!?」

 ネージュさんを落とさないようにしっかりと抱えたまま、後ろのヴィンセント様に声をかける。軽く振り向いたその時、スリジエさんががくんと傾いた。

「危ない、エリカ!」

 スリジエさんの背から落ちかけたわたしを、ヴィンセント様がしっかりと抱き留めてくれた。

「そのままじっとしていろ。雪狼を落とさないように。君は俺が支える」

「はっ、はい!」

 ヴィンセント様のたくましい腕にしっかりと抱きしめられてしまった。どうしよう、頭がふわふわする。相変わらずスリジエさんは揺れ続けているのに、少しも不安を感じない。

 この気持ちを、言葉にしてヴィンセント様に伝えてみようか。でもきっと、口を開いたら余計なことを言ってしまう。さっき、花畑でそうだったように。

 だからネージュさんをぎゅっと抱えて、口をつぐんでいた。けれどそうしていると、今度はヴィンセント様の体温が気になってしまう。温かい。くすぐったい。そわそわする。