不器用なわたしたちの恋の糸、結んでくれたのは不思議なもふもふたちでした

 そうして、ついに離れが完成した。

『ほう、これはいい。これだけ広々としていれば、おれも気軽に歩ける』

『扉が開けやすいのもよいのう』

『木の香り、好き』

 ネージュさん、スリジエさん、それにトレの三人を先頭にして、わたしたちは離れに足を踏み入れた。

 幻獣たちの意見を取り入れて、壁も天井もしっくいを塗らない素の木のままだ。床も歩きやすいよう、やはり木の板を張ってある。

 飾りの一つもなく、とても質素だけれど、明るくさわやかな雰囲気の場所だ。

「……子供の頃に暮らしていた家を思い出すな。もっともこんなにいい木は使っていなかったし、こんなに大きくはなかったが」

 ヴィンセント様が辺りをぐるりと見渡し、懐かしそうにつぶやく。どうやら彼も、この離れを気に入ったようだ。

「わたしはこんな建物は初めてです。でも、とっても素敵で落ち着きます」

 離れの正面扉は大きく、手の大きな幻獣たちでも開けやすいように大きな取っ手をつけてある。

 さらに小さな幻獣たちも気軽に出入りできるように、扉のすぐ横にもう一つ小さな出入り口をつけた。職人たちには、賢い犬を飼う予定なんです、と言ってごまかした。

 大きな扉をくぐると、そこは吹き抜けの広間になっている。上のほうに設けられたいくつもの大きな窓から、優しい日差しが降り注いでいた。

 そして広間の両脇には、がらんとした部屋が一つずつある。くつろいでもよし、宝物を持ち込んでもよし。みんなはここをどう使うのか、楽しみだ。

 広間と部屋を見て回ってから、広間の奥にある大きな扉をゆっくりと開ける。そこは広々としたテラスになっていた。

 テラスの中心の辺りには石が敷かれ、端のほうには木が敷かれている。装飾の意味もあるし、その時の気分で好きなところに寝っ転がってもらおうという意味もあった。

「この離れは、お前たちの自由に使ってくれていい。ただし、壊すのはなしだ」

「みんなが気持ちよく過ごせるように、できるだけきれいに使ってくださいね」

 ヴィンセント様とわたしがそう言うと、幻獣たちは一斉に声を上げた。『やったあ』『お家だ』『人間の家に住むのも悪くない』などなど。

『ねえ、さっそくみんなでひなたぼっこしよう』

 そんな喧騒の中、トレがうきうきと叫ぶ。同意の声が次々と上がり、それからぞろぞろとテラスに出ていく。

「……俺たちも行こうか」

 そう言って、ヴィンセント様が手を差し出してきた。その手を取って、二人で歩き出す。



 広いテラスには、既に幻獣たちがごろごろと寝転がっていた。みんな、とても幸せそうな顔だ。

 一番大きいのがネージュさんで、一番小さいのがフラッフィーズだ。白、桜色、黄緑、青、他にもたくさんの色がテラスいっぱいに広がっていて、とっても綺麗だ。

「……これだけの数の幻獣がひとところに集まっているなど、まず信じてはもらえないだろうな」

「ふふ、そうですね。こんなに素敵な光景なのに」

 幻獣たちをうっかり踏んづけてしまわないように気をつけながら、テラスの奥に向かって進んでいく。しっかりと手をつないだまま。