顔を上げようとしてもできなくて。
声をかけられても反応できなくて。
気がついたら涙が溢れてたんだよ。
煌、
煌、
煌、
きら、
き、らぁ…
涙が止まらなかった。なんで泣いているのかもわからないのに。
煌。君は本当に大きな存在だったよ。
君と一緒にいたいって
何回も何十回も何百回も、この世界に存在しない桁数ほどの回数、考えてた。
なのにね、
訳もわからず出てきた涙で
私は、
存在するはずだった、
存在するかもしれなかった、
もう一度紡げる、君との時間を、
自ら"0"にしたんだよ。
その日、担任の先生はいなかったから、級外の先生が入ってくれていた。
どうしたの?
何があったの?
そう聞かれたけれど、答えられるはずがなかった。
私が知りたいよ…
黙ったまま俯いている私に、先生はこう言った。
担任の先生に報告してもいい?
「いやです」
その質問に対する答えだけは、異常な早さで口から吐き出された。
だって、
担任なんかにこの話がいったら…
きっと、親に電話をかかるか、友人たちに話をきく。
そしたら そしたら…
いずれ、煌の名前が上がる。
それは、すなわち、
煌と同じ時を過ごせる可能性が、消えるということだ。
私が何よりも望んでいたものが、あと少しで手に入るのに、
手を伸ばせなくなるということだ。
そんなの、絶対に、嫌だ。
先生は驚いたような表情で、でも小さく頷いてくれた。
でもね。煌。
君はわかっているかもしれないけど、
先生たちは、ちょっと嘘つきなんだよ。
その日の夜、親にかかってきた電話。
担任から、だった。
「ゆうさんが突然泣いてしまった、と聞いたんですが。」
そうなの?
と母に聞かれた瞬間、
またもや涙が溢れてきた。
もうだめだ。先生の嘘つき。
言わないって、頷いたじゃん。
なんだよ、なんだよ、
なんでだよぉ…
ソファーのクッションに顔を埋めて、
今度は明確な理由のもとに、
私はずっと
声をあげて泣いていた。
気づいたら、母は電話を終えていた。
煌くんのことでしょ?
息が止まった。
なんて、先生に言ったの?
多分、煌くんが転校してくるということが関係してると思う、って。
クラスは別々にするってよ、
良かったね。
あのとき溢れてきた、
涙という形にすらならない
絶望
という感情は、
今も私を縛りつけています。
