「どこがお嬢様なの、契約社員はクビになる、政略結婚で好きでもない人に嫁がされそうになったつぶれかけた家の娘なのよ!」
「それをいうなら、サエキ商事は大きな会社だけど、僕は養子だよ。しかも実の親とはほぼ縁が切れてる。言っておくけど、大した家じゃないよ」
「そんなわけないじゃない」
「そうなんだよ。そういう君の家は創業何年?君のお父さんは自分の代で家をつぶせないから必死になっていたんだろう。つまり歴史がある。うちのほうが確実に歴史は浅い」
「だけど、だけど……今、うちは貧乏なの。それに大赤字だもん……将来性がないでしょう」
「あはは、貧乏か……」
言ってしまった。祐樹は莉愛をまた引き寄せた。背中をポンポンとたたいた。
「大丈夫、君も、未来の夫も将来性抜群だ。君は正社員になったら、新しいお茶菓子で本山本舗を立て直したかったんだろう?」
「もう……祐樹さんったら……そうやってその気にさせて……私信じちゃうから……」
祐樹は安心させるようにぎゅっと莉愛を抱きしめた。
「信じていい。ほら、政略結婚だって破棄してやっただろ?あのさ、二人の時は莉愛って呼んでいい?」
「え?」
色気のある瞳が彼女を見下ろしている。莉愛は反射的にこくりと頷いた。
「莉愛」
「はい」
「仕事は来週からだけど、さっき言った通り、一度今週中にサエキの義父のところへ一緒に行ってくれないか?」
「え?」
「それをいうなら、サエキ商事は大きな会社だけど、僕は養子だよ。しかも実の親とはほぼ縁が切れてる。言っておくけど、大した家じゃないよ」
「そんなわけないじゃない」
「そうなんだよ。そういう君の家は創業何年?君のお父さんは自分の代で家をつぶせないから必死になっていたんだろう。つまり歴史がある。うちのほうが確実に歴史は浅い」
「だけど、だけど……今、うちは貧乏なの。それに大赤字だもん……将来性がないでしょう」
「あはは、貧乏か……」
言ってしまった。祐樹は莉愛をまた引き寄せた。背中をポンポンとたたいた。
「大丈夫、君も、未来の夫も将来性抜群だ。君は正社員になったら、新しいお茶菓子で本山本舗を立て直したかったんだろう?」
「もう……祐樹さんったら……そうやってその気にさせて……私信じちゃうから……」
祐樹は安心させるようにぎゅっと莉愛を抱きしめた。
「信じていい。ほら、政略結婚だって破棄してやっただろ?あのさ、二人の時は莉愛って呼んでいい?」
「え?」
色気のある瞳が彼女を見下ろしている。莉愛は反射的にこくりと頷いた。
「莉愛」
「はい」
「仕事は来週からだけど、さっき言った通り、一度今週中にサエキの義父のところへ一緒に行ってくれないか?」
「え?」



