莉愛は祐樹の姉に頭を下げた。すると祐樹が莉愛の背中に手を回し、そっとエスコートするように歩き出した。
☆ ☆ ☆
「……ちょっと話そう」
祐樹はそう言うと、人事部で空いている会議室を確認して、莉愛をそのまま連れて行った。
広くもないが狭くもない、打ち合わせ用の会議室。
莉愛の背中を押して中に入れると鍵をかけた。祐樹は座らずに、窓際に立った。
通りが見えた。莉愛も彼の後ろに立った。祐樹は壁のスイッチをおしてブラインドを下げた。部屋が薄暗くなった。
祐樹は莉愛をじっと見て口を開いた。
「本当に心配をかけて、連絡しなくて……ごめん」
「私から連絡すればよかったんですけど、勇気がなくてできなかった。やっぱり色々無理だったよって言われそうで……」
莉愛は下を向いてその先を言えなかった。
「正社員は決定事項だ。結婚に関しては……うちで反発が出るのは予測済みだったが……想像以上でね。でも、ご両親にだって君と結婚したいと伝えたんだから、僕は何がなんでも君と一緒になる覚悟はある」
「正社員の話は本当だろうと思ったから、そのうち連絡してみようとは思ってたの。そしたら会社から連絡が先にきたから……本当は昨日祐樹さんに連絡するか迷って……よく考えたら取引のことで迷惑かけているのは想像できたのに自分のことしか考えてなかった。ごめんなさい」
祐樹は莉愛の手を握った。そして言った。
「いや、不安にさせて悪かった。君のご両親を心配させたくない。近いうちサエキの両親に会ってくれ」
「え?」
☆ ☆ ☆
「……ちょっと話そう」
祐樹はそう言うと、人事部で空いている会議室を確認して、莉愛をそのまま連れて行った。
広くもないが狭くもない、打ち合わせ用の会議室。
莉愛の背中を押して中に入れると鍵をかけた。祐樹は座らずに、窓際に立った。
通りが見えた。莉愛も彼の後ろに立った。祐樹は壁のスイッチをおしてブラインドを下げた。部屋が薄暗くなった。
祐樹は莉愛をじっと見て口を開いた。
「本当に心配をかけて、連絡しなくて……ごめん」
「私から連絡すればよかったんですけど、勇気がなくてできなかった。やっぱり色々無理だったよって言われそうで……」
莉愛は下を向いてその先を言えなかった。
「正社員は決定事項だ。結婚に関しては……うちで反発が出るのは予測済みだったが……想像以上でね。でも、ご両親にだって君と結婚したいと伝えたんだから、僕は何がなんでも君と一緒になる覚悟はある」
「正社員の話は本当だろうと思ったから、そのうち連絡してみようとは思ってたの。そしたら会社から連絡が先にきたから……本当は昨日祐樹さんに連絡するか迷って……よく考えたら取引のことで迷惑かけているのは想像できたのに自分のことしか考えてなかった。ごめんなさい」
祐樹は莉愛の手を握った。そして言った。
「いや、不安にさせて悪かった。君のご両親を心配させたくない。近いうちサエキの両親に会ってくれ」
「え?」



