かすれた声と少しふらついた祐樹に驚いた修二は、とっさに彼の身体を支えた。

「おい、祐樹大丈夫か!熱いぞ、身体。これ絶対熱があるだろ。なんだよ、具合が悪いなら言えよ!無理に来なくても……」

「ああ、さっきホームで薬を飲んで少し休んだ。そのうち効いてくるだろ。連絡せず悪かったな」

「とりあえず、車へ。これ以上停めておけない」

 修二は祐樹を助手席に座らせると、自分も乗って急いで車を出した。

「お前もさ、どうして近くの実家に戻らず、あんな古い家にいるんだよ」

「親父の顔を仕事以外で見るのは嫌だ」

「まったく……本当に仲が悪いな。いまだにそうなのか。まあ、それにしてもこんな都会のど真ん中で早朝の電車通勤をするなんて……日本のラッシュをなめてるだろ」

「確かに……すごいな。久しぶりの日本だったし、ラッシュなんてすっかり忘れてた。まあ明日からは、時間がかかるが車にする」

「そうしろ。今日はどうする?全部キャンセルして帰るか?」

「とりあえず一旦会社へ行ってくれ」

「わかった。帰国して間がないのに相変わらず仕事漬け。無理のしすぎだ。せっかく海外でよくなってきたのに、また再発したら大変だ。部屋で少し休んでろ。スケジュール調整する」

「すまない……頼むよ」