夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

　莉愛はつい口に出してしまった。

「莉愛、本当にごめん。こそこそさせるような結婚で、君のご両親はどれほど心配していただろうな」

「そんなことない。今回の結果も聞いたら本当に喜んでくれた。祐樹さんと出会ったあの日、正社員を諦めて、商品化も諦めた最後の日だった。神様がいたのかな、祐樹さんと出会えた」

「君が声をかけてくれなければ、そのままだった。僕こそ、運命だった。莉愛、今さらだけど幸せになろう」

「はい」

「あちらに移って落ち着いたら式も挙げよう。君のウエディングドレスを見たい」

「落ち着くのは一年くらい先だったりするかもしれないわ」

「どれほど遠回りしても夢は叶える。僕も君を通して自分の夢を叶えつつある」

「全部、祐樹さんのお陰よ。私、これからは恩返ししていかないとね」

「恩返しか……早速部屋に早く戻ろうかな？」