国内部門賞は別な商品になったが、莉愛の商品は特別賞を受賞した。

 それには理由があった。

 実は、試作したパティシエを通して、業務用としてホテル勤務のパティシエなどから無糖タイプのお茶のビスキュイの注文があった。

 すでに試作したパティシエは自分のデザートに使いたいからと継続的な商品化を依頼してきた。

 部門賞にはならなかったが、一般客相手ではなく業務用で売っていくとなれば販路が違う。

 かなりの継続的な取引も望めるので会社はすぐに商品化を検討しはじめた。

 また、いくつかのお茶の味や、加糖したものも作ってほしいと他のパティシエからも依頼があり、特別賞だったが大量の注文で一番早く商品化への道筋がついた。

 業務用として頼まれたことで、本山茶舗のお茶も材料としてかなり出すことになった。

 莉愛の夢は叶いはじめた。二次活用の道が確実に開けたのだ。

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 本選の会場にいた社長と専務は、結果が出た後、莉愛の所へ揃って顔を見せた。