「ええ。味もいいですからね」

「本山は悔しくないのか?」

 祐樹が莉愛に聞いた。

「もちろん、悔しくないわけじゃありませんが、この結果は予想済みでした。それに、香苗さんに負けるなら納得できます」

「そうか。二位とはいえ、パティシエからの特別推薦もあるから、君のも本選に試しに出してみよう」

「ありがとうございます」

 莉愛はパティシエと部長に頭を下げた。香苗が後ろから来て声をかけた。

「よかったわ、本山さん。ね、私が言った通りになったでしょう」

「ありがとうございます。それにおめでとうございます、香苗さん」

「ありがとう。ふたりで本選も頑張りましょう」

「ええ」

 ☆ ☆ ☆

 本選の結果は香苗の商品が海外部門賞に決まり、商品化が内定した。