部内コンペは莉愛の想像通りだった。

 やはり海外向けとしては香苗の商品のほうがいいだろうといいうことで彼女が第一位に選ばれた。

 しかし、ゲストとしてパティシエが数人来ていて、色んな質問に答えた後、最後の講評があった。

「お二人の菓子はどちらもコンセプトや素材に和を意識していて、とても良かったと思います。本山さんの作品は海外向けとしては選ばれませんでしたが、国内向けに需要が出ると思います。是非、本選に出してみたらどうでしょう?」

 皆が拍手をしたので、部長である祐樹もうなずいた。

「皆、それでいいかな?」

 拍手が起きた。

「ありがとうございます」

 莉愛は皆に頭を下げた。

「じゃあ、海外事業部からこのふたつの商品をエントリーすることに決定だ」
 
 終わった後、莉愛はパティシエに呼ばれた。

「クッキーを加えたバージョンと加えない無糖のお茶だけのビスキュイを売るのもいいと思います。二種類のバージョンを作ってみませんか?」