それに、彼女の家は僕が家督を継ぐと信じていたところもあり、兄が次期社長と決まったことで嫌みも言われた。
両親も彼女を可愛がっていた。僕は母の顔色を窺い、強く出られなかった。
母は家督を譲った僕を贔屓し始めた。そのせいで、兄とさらに仲が悪くなった。
母が亡くなり、僕はおかしくなりかけた。佐伯の伯父はそれを見て、すでに千堂製菓に入社していた僕を養子にしたいと父に申し出て、父もそれに同意した。
母がいなくなり僕をコントロールできない父は、僕を捨てた方が楽だったからだ。
長く暗いトンネルの中を生きてきた。
いずれサエキ商事に入ることは決まっていた。それで、千堂製菓のアメリカ事務所へ準備もあって異動した。
修二もついてきてくれて、新しい仕事も成功し、ようやく人生が楽しくなっていた。
ところが、沙也加が菫さんを巻き込んでアメリカに異動してきた。
沙也加に手を焼いた彼女の両親のさしがねだった。父も面倒になり、僕に押し付けた。
僕は沙也加から何度告白されてもつきあえないと断ってきた。
彼女が高校時代に社会人既婚者の男性と関係を持ってしまったことがあった。
沙也加は僕の気を引くためだと騒いだが、結局相手男性とトラブルになった。その際、両親に隠れて生前の母に頼ってきた。
母が一時期実家を貸してかくまっていたことがあり、僕も内密に解決の手伝いをさせられた。
そんな彼女と交際なんて考えられない。それ以降、母もわかったようで沙也加に厳しくなった。
その母もしばらくして亡くなった。
でも彼女は僕を諦めなかった。僕はこれ以上父との関係が悪化するのは怖かったので、父の手前しょうがなく、彼女を諭しながら接してきた。
そんな時だった。
帰国後、偶然莉愛と出会い、話しているうち猛烈に惹かれた。彼女の夢を自分の夢として応援したかった。
だからこそ、兄を説得して彼女を社員登用したのだ。
だが、思いもしない結果が待っていた。
社員登用を伝えたその日に、彼女は政略結婚の縁談が急遽持ち上がり、入社できないかもしれないと言った。
両親も彼女を可愛がっていた。僕は母の顔色を窺い、強く出られなかった。
母は家督を譲った僕を贔屓し始めた。そのせいで、兄とさらに仲が悪くなった。
母が亡くなり、僕はおかしくなりかけた。佐伯の伯父はそれを見て、すでに千堂製菓に入社していた僕を養子にしたいと父に申し出て、父もそれに同意した。
母がいなくなり僕をコントロールできない父は、僕を捨てた方が楽だったからだ。
長く暗いトンネルの中を生きてきた。
いずれサエキ商事に入ることは決まっていた。それで、千堂製菓のアメリカ事務所へ準備もあって異動した。
修二もついてきてくれて、新しい仕事も成功し、ようやく人生が楽しくなっていた。
ところが、沙也加が菫さんを巻き込んでアメリカに異動してきた。
沙也加に手を焼いた彼女の両親のさしがねだった。父も面倒になり、僕に押し付けた。
僕は沙也加から何度告白されてもつきあえないと断ってきた。
彼女が高校時代に社会人既婚者の男性と関係を持ってしまったことがあった。
沙也加は僕の気を引くためだと騒いだが、結局相手男性とトラブルになった。その際、両親に隠れて生前の母に頼ってきた。
母が一時期実家を貸してかくまっていたことがあり、僕も内密に解決の手伝いをさせられた。
そんな彼女と交際なんて考えられない。それ以降、母もわかったようで沙也加に厳しくなった。
その母もしばらくして亡くなった。
でも彼女は僕を諦めなかった。僕はこれ以上父との関係が悪化するのは怖かったので、父の手前しょうがなく、彼女を諭しながら接してきた。
そんな時だった。
帰国後、偶然莉愛と出会い、話しているうち猛烈に惹かれた。彼女の夢を自分の夢として応援したかった。
だからこそ、兄を説得して彼女を社員登用したのだ。
だが、思いもしない結果が待っていた。
社員登用を伝えたその日に、彼女は政略結婚の縁談が急遽持ち上がり、入社できないかもしれないと言った。



