「そうだったのね。そうじゃないかと思っていた」

「え？」

「見ていればわかる。前から部長と付き合ってる？」

「え？えー！」

　莉愛は驚愕した。

「そんなに驚く？気づいている人は須藤君とか数人いると思う。修二さんがあなたのことを部長に預ける時間を気配りしてるでしょう。すぐにおかしいと思った。私の時はそんなことなかったし、部長があなたを目で追ってる。間違いないと思ったわ」

「さすが……香苗さん……驚きました。隠し事はできませんね」

「うふふ。正解ね」

「実は……交際０日婚で入籍済みなんです。」

　莉愛は意を決して小声で言った。

「えー！？」

　香苗は大声を出した。周りがこちらを見た。口を抑えてお互いしゃがんだ。

「この部では修二さん以外には秘密です。しかも三か月しか経ってないんです」

「三か月ってあなたが異動してからじゃないの？」

　莉愛はこくんと頷いた。

「なるほどね。それじゃあ、言えないわね。贔屓しているって絶対言われる」

「そうなんです。まあ、色々事情がありまして、全てうちの家業の業績が背景にあります」

「そうよね、おうちの会社が大変でいったん仕事辞めようと決心したんですって言ってたわよね」