「そうですか?」

 香苗は一緒に入っているフィンガータイプのざらざらしたクッキーを見た。

「これは?」

「いわゆる、お茶席で抹茶のあとに和菓子を食べますが、それと同じことです。小豆をベースにしたクッキーです」

「なるほどね。うわあ、本当にお茶の味がする。それに風味もある。この食感とこの味は食べたことない。日本でも話題になりそう。小豆のクッキーは小豆が大きい」

「歯ごたえを変えたんです。お茶の方は細かくして入れ込んでいるので、そちらは少し歯ごたえを残して遊んでみようということになりました。お茶のスティックはほうじ茶や玄米茶なども作れるんです。今日はそちらも持ってきました」

 香苗は試食しながら驚いていた。

「お菓子というか、これはすごいね。料理にも使えそう。和え物とかにそれこそ青じその代わりに入れたりしてもいいかもしれない。あとはアイスクリーム。アイスに乗せたら最高よ」

 莉愛は手を合わせた。

「確かにそうですね。その需要は結構ありそうですね」

「小豆のクッキーを入れないでお茶のビスキュイだけで勝負するのもありだと思うけど、アメリカ向けだと難しいかな」

「そうなんですよね。日本ではそこそこ売れると思うんですけど、甘くないと難しいところもあるかもしれません。でも、スナックは香苗さんの作ったもののように甘くないのがたくさんあります。アメリカはお菓子の二次活用も先ほどおっしゃっていた通り普通なので、期待したいです」

「ビスキュイ自体が大きいね。日本だとこの大きさの半分じゃない?」

「そうですね。大きさはかなりあちらの商品を参考にしました。輸入してきた商品をリスト化したときに見てたんです」

「なるほどね」

「実は、海外事業部に来たのはお茶のお菓子を提案したくて、お茶に目をつけていた部長が私を引っ張ってくださったんです」