「これがシソの葉を使ったもの。チーズをベースに青じそを混ぜてある。こっちが海苔を使ったもの。ベースにみりん醤油。そして、これがはちみつ梅を入れたもの」

「わー、素敵!食べてもいいですか?」

「もちろん」

「すごい!美味しいです!」

「美味しいのはパティシエさんの配合のおかげね。やはりどれをどのくらい混ぜ込むか、生地に何を使うかとかはわからないから、おまかせしちゃった。半分以上はパティシエさんの成果よ」

「日本を意識した甘すぎない、つまみにもなるスナック。私と共通してますね」

「アメリカの菓子はピーナッツバターやチーズ、ペペロンチーノ系など色々よ。チョコやクッキーも基本甘め。もちろん、ポテトチップなどもたくさんあるし、スナック菓子を料理に入れたり、ケーキの生地に利用したりと応用範囲が広い」

「そうですね」

「輸出向けの菓子と言われて、迎合することもあるかもしれないけど、初めての試みだし、やはり日本らしさを入れたいと思ったの。お茶屋さんとは被らないように考えたわ」

「ありがとうございます。でも香苗さん、これ、正直日本でも相当売れると思います。私だったら絶対買う」

「ありがとう」

 莉愛も試作品を見せた。

「ビスキュイ風のフィンガータイプのものに抹茶を入れてみました。お茶の味を際立たせるため、卵白が中心のビスキュイを選んで、バターを入れていないので普通の抹茶菓子のような風味はしません。本当にお茶の味がします。でもどんな生地で作るかは、もし最後まで残れたらの話ですが、本選に行くまで最終的にいろんなパティシエの人の案を聞いて決めた方がいいと、作ってくださったパティシエさんからは言われたんですけど……」

「色が素敵ね。やはり抹茶のこの強い色は落ち着く」