メイクも日本人よりはっきりとしている。祐樹と並ぶと身長が釣り合っていてお似合いだ。

 莉愛は背が低い方なので、常に祐樹を見上げている。

 彼女は顔を横に向けるとちょうど祐樹の肩がある。

「本山さん、紹介するよ。アメリカの事務所にいる斉藤沙也加だ。沙也加、彼女が修二の下についた本山莉愛さんだ」

 祐樹は無意識に呼び捨てだった。莉愛はそのこともショックだった。自分は苗字でさん付けだ。

「初めまして、本山です。どうぞよろしくお願いします」

「あなたがそう……ふーん。私は祐樹の、部長の幼馴染で、修二の彼女と同僚の斉藤沙也加です。あなたのことは全て聞いているわ。ここのフロアで隠していることもね」

「沙也加!」

「沙也加さん、ちょっと……僕と話しましょう。菫の様子も少し聞かせてくださいよ」

 そう言うと、修二さんが沙也加さんの腕を取って、秘書用の部屋へ押し込んだ。

「本山さん、こっちへ」

 祐樹が莉愛を部長室へ誘った。

 ばたんとドアを閉めると、祐樹はブラインドを下げた。

「莉愛」

「はい、なんでしょうか、部長」

 莉愛の見たことのない昏い眼の色に祐樹は息をのんだ。

「莉愛……あいつはただの幼馴染だ。家族ぐるみで昔から親しい。兄貴が僕の結婚の話をしたんだろう。それを聞いて、おそらく君を見に来たんだ。あいつが何か言って来たら僕か修二が対応するから気にするな」