「本山さん、このリストの三年前からの取引内容をまとめたファイルを資料室から持ってきてくれる?」
「わかりました」
修二がリストを莉愛に手渡した。莉愛は立ち上がって出て行った。
莉愛は廊下でサングラスをかけた背の高いパンツスーツの女性とすれ違った。お客様かもしれないと会釈をして通り過ぎた。
こちらをちらりと見たが彼女は軽く会釈を返してそのまま颯爽と歩いていく。サングラスをしている女性なんて社内で初めて見た。
海外事業部はすごいなとつい二度見しながらすれ違った。
彼女がフロアへ入ってくると、ざわざわとした。祐樹は部長室から彼女を見てガタンと音を立てて椅子から立ち上がった。修二は走ってフロアへ出てきた。
「沙也加さんどうしてこっちに……」
修二を無視して、後ろから顔を見せた祐樹に彼女は向かっていく。
「祐樹……元気そうね。今戻ったわ」
「……沙也加……どうして……」
「どうしてって、おとといの会議で新商品のコンペをするって言ってたじゃない。あっちの事務所でも案が出てね。私が代表で参加するために帰国したの。それと、修二が予定通り戻れるように手伝いに来たのよ。菫ちゃんが首を長くして待ってるわ」
「何を勝手なことを……僕は聞いてないぞ」
祐樹がつぶやいた。
「菫さんが言うとおりね。祐樹が私の帰国を嫌がるのは予測済みよ。でも、内緒で何かしても認めてはもらえないわよ」
沙也加は祐樹の首に両手を回した。
「私から逃げようなんて思わないでね、祐樹」
「わかりました」
修二がリストを莉愛に手渡した。莉愛は立ち上がって出て行った。
莉愛は廊下でサングラスをかけた背の高いパンツスーツの女性とすれ違った。お客様かもしれないと会釈をして通り過ぎた。
こちらをちらりと見たが彼女は軽く会釈を返してそのまま颯爽と歩いていく。サングラスをしている女性なんて社内で初めて見た。
海外事業部はすごいなとつい二度見しながらすれ違った。
彼女がフロアへ入ってくると、ざわざわとした。祐樹は部長室から彼女を見てガタンと音を立てて椅子から立ち上がった。修二は走ってフロアへ出てきた。
「沙也加さんどうしてこっちに……」
修二を無視して、後ろから顔を見せた祐樹に彼女は向かっていく。
「祐樹……元気そうね。今戻ったわ」
「……沙也加……どうして……」
「どうしてって、おとといの会議で新商品のコンペをするって言ってたじゃない。あっちの事務所でも案が出てね。私が代表で参加するために帰国したの。それと、修二が予定通り戻れるように手伝いに来たのよ。菫ちゃんが首を長くして待ってるわ」
「何を勝手なことを……僕は聞いてないぞ」
祐樹がつぶやいた。
「菫さんが言うとおりね。祐樹が私の帰国を嫌がるのは予測済みよ。でも、内緒で何かしても認めてはもらえないわよ」
沙也加は祐樹の首に両手を回した。
「私から逃げようなんて思わないでね、祐樹」



