夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

「え?」

 莉愛は缶を何種類か出した。そしてその特徴をそれぞれ記したものを渡した。

「すごいですね、これ……抽出温度に時間、お茶の渋みや甘味を詳しく数値化している。しかも、なんですこれ?」

 お茶の成分表もつけた。

「いや、これは驚いた。僕も大変勉強になります。僕の仕事に反映できそうです」

「そうですか?」

「ごめんなさい、千堂製菓とは別の話です。もし、僕がこのお茶を気に入ったら、本山さんにお願いしたら購入できます?」

「はい、もちろんです。業務量でも大丈夫ですよ」

「いや、いい香りですね。これはすごい、この抹茶は?」

「うちの看板抹茶です。結構いいお値段です。今はほとんどお茶席用で出ているのがほとんどで、二次活用はあまりないんです」

「そうでしょうね。これを使っても商品化するには材料費がかかりすぎて難しいと思います」

「組み合わせて頂いてもいいんです。抹茶は三種類お持ちしましたが、いくつかブレンドしていただいても……後は入れるタイミングを変えるとか……」

「いやあ、わくわくするな。すぐに、今日からやります」

「ありがとうございます」

「じゃあ、出来たらまたご連絡します」

「はい、よろしくお願いします。あ、これは個人的にプレゼントです。うちのお茶の詰め合わせです。よろしければ飲んだり食べたりしてヒントになさってください」

「これは助かります。期待してください」