夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

 ソファからベッドへ移り、二人は久しぶりに欲しいだけお互いの愛を交わし合った。そのせいか、二人が眠ったのは日付が変わってしばらくしてからだった。

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 莉愛は毎日寝る前に少しづつスケッチブックを見ながら新しい商品案をまとめはじめた。

 最終的に二つに絞った案をさらに詳しくスケッチブックに書くと、提携のパティシエがいる工房へ直接出向いてさっそく相談した。

「なるほど……砂糖を使わず抹茶を練り込んだ菓子」

「交互に少しだけ甘いこちらのビスキュイと食べます」

「サブレの間に抹茶ペーストを挟むのは?」

「他の甘い生地と一緒はやめたいんです。お茶の本来の味を単体で出来るだけ楽しんで欲しい」

「わかりました。お茶の種類は?」

「どれがこの生地と混ぜ込んだ時に合うのか、試作してから決めたいので、数種類お預けします。色や香りも考えてお持ちします」

 パティシエが嬉しそうな笑顔を見せた。

「個人的に今まででいちばん楽しみな試作になりそうです」

「え?」

「コンセプトが新しい。お茶本来の味の追求、甘くなく、つまみにもなる。軽い食感に濃い味。糖質制限も考えているんですか?」

「確かにそれもあります」

「早速作りたいので、お茶を早めに……いつ頃頂けそうですか?」

「持ってきました」