莉愛は祐樹がいかにこの部を大切に思っているのかよくわかった。だからこそ、自分も負けられないとやる気がでた。

「そうね。さすがです、部長」

「いいですか、本山さん?」

 ふたりは上司と部下の顔になった。

「はい、頑張ります」

「でも、少しだけ贔屓してみたぞ」

「なにを?」

「皆には週明け発表しようと思っているからだよ。莉愛には二日早く教えてあげられた」

「……それは遠慮します」

「え?」

「皆さんに一斉メールをしたら?週末のほうが考える時間もあるだろうし、試作できる人もいるかもしれない」

「なるほど、それもそうだな……」

 祐樹はうなずいた。

「でも、別な意味で贔屓してくれてるじゃない。本当ならなかったかもしれない社内コンペの開催を根回ししてくれたんでしょう。本当にありがとう。あなたは最初の約束を守ってくれた。私にその機会を与えてくれた。本当に嬉しい、大好きよ」

 莉愛は祐樹にだきついた。祐樹は莉愛を抱きしめた。

「なあ、莉愛……」

「はい」