ここ最近になってようやく、英語で聞き返しながらも電話の受け答えができるようになった。

 皆、莉愛が電話を取ると聞き耳を立てている。

 今日は夕方から海外事業部の管理職会議だったのだ。話に出たのだろう。恥ずかしい限りだ。

「本当?」

「本当だ。今日は頑張ってきた君をご褒美に天国へ連れて行ってやる」

「……天国?地獄じゃなくて?今、修二さんに地獄へ毎日連れて行かれている最中よ」

「なにとぼけてんだよ。ほら帰るぞ」

 フロアに誰もいなくなったのを確認した二人は、そのまま一緒に外へ出た。