「新婚なんだぞ。君をどんな時も欲しがって何が悪い!」

 莉愛は驚いた。目を見開き逆切れした祐樹を初めて見た。

 いつも余裕のある祐樹が、いらいらとしている。莉愛は驚いて祐樹に近づくと、彼をそっと抱きしめた。

「莉愛……」

 色んな策略を弄する祐樹が、真正面から莉愛が欲しいとストレートに言っている。

「わかった……そんなにイライラさせてたなんて知らなくて、ごめんなさい祐樹さん。たまに平日も隠れてそっちへ行くわ」

「君が疲れているのもわかってる。ただ、電話じゃなくて目を見て話したいんだ。隣にいて君を守れない。拷問だ。僕は莉愛が不足している。側で手を握って休むだけでいい。今までの我慢よりは数倍マシだ」

「……手を握るだけなんて、祐樹さんに出来るの?」

「わからん……でもなるべく我慢する」

「祐樹さんは、ごめん、たぶん出来ないと思う……」

 祐樹は見上げる莉愛をつついた。

「君が小悪魔なんだよ。僕の理性を常にそうやって打ち壊しているのは君だ」

 莉愛はむっとした。

「小悪魔って何?そんなことしてないわ!」

「須藤や尚人みたいなのをいつまでも虜にする小悪魔め。莉愛は人のものだとわかるように明日から指輪を常時するべきだ」

「どうして私だけ?祐樹さんこそすべきです」

「僕はいいんだ」