接点も少なくなり、会社ではお互い上司と部下としての距離を保つことに成功した。
偉い部長様と不出来な新人の恋愛など誰も疑うことがなかった。
修二は莉愛のことを予想通り厳しく育てていた。祐樹は見る度叱られている莉愛が心配だった。最近は一日一度の夜のメールや電話も滞りがちだった。
「本山さん、大丈夫?顔色悪いわよ」
香苗という一年上の女性職員が莉愛の目の前で言った。今日から少しづつ、彼女にも仕事を引き継いでもらっている。
今まで葛西がひとりでアメリカへ出張していた時、代わりに祐樹の秘書をしていた人だ。
「大丈夫です。少しパソコンの見過ぎで目が……」
「ほら、これ使えば?」
彼女は引き出しから目薬を出してきて莉愛に手渡した。
「営業だったそうだし、そこまでパソコン使っていたわけじゃないでしょ?」
「そうですね、ただパソコンを使うこと自体は不慣れというほどじゃないんです。ただ、ここの書類ほとんどが英字入力だったりするから、そこが特に慣れなくて……」
「そうよね。大文字小文字に変換したり、結構面倒でしょ。日本語の文体と書式も違うからね。私も慣れるまで結構大変だった」
「見慣れないから小文字に大文字、目がチカチカしてくるんです」
「まあ、無理をしない程度に頑張ってね。葛西さんは厳しいでしょう。適度に休んだ方がいいわよ」
香苗さんは小声でそう言うと戻って行った。入れ違いで葛西が戻ってきた。
莉愛は目薬を差して、また入力を開始した。
偉い部長様と不出来な新人の恋愛など誰も疑うことがなかった。
修二は莉愛のことを予想通り厳しく育てていた。祐樹は見る度叱られている莉愛が心配だった。最近は一日一度の夜のメールや電話も滞りがちだった。
「本山さん、大丈夫?顔色悪いわよ」
香苗という一年上の女性職員が莉愛の目の前で言った。今日から少しづつ、彼女にも仕事を引き継いでもらっている。
今まで葛西がひとりでアメリカへ出張していた時、代わりに祐樹の秘書をしていた人だ。
「大丈夫です。少しパソコンの見過ぎで目が……」
「ほら、これ使えば?」
彼女は引き出しから目薬を出してきて莉愛に手渡した。
「営業だったそうだし、そこまでパソコン使っていたわけじゃないでしょ?」
「そうですね、ただパソコンを使うこと自体は不慣れというほどじゃないんです。ただ、ここの書類ほとんどが英字入力だったりするから、そこが特に慣れなくて……」
「そうよね。大文字小文字に変換したり、結構面倒でしょ。日本語の文体と書式も違うからね。私も慣れるまで結構大変だった」
「見慣れないから小文字に大文字、目がチカチカしてくるんです」
「まあ、無理をしない程度に頑張ってね。葛西さんは厳しいでしょう。適度に休んだ方がいいわよ」
香苗さんは小声でそう言うと戻って行った。入れ違いで葛西が戻ってきた。
莉愛は目薬を差して、また入力を開始した。



