「これでいつかお茶をたててあげるね」

「これは君にあげるよ。母も喜ぶ」

「ありがとう。この家、落ち着くわ……。私の実家も古い木造家屋でこんな感じだったでしょ?台所は使えるの?」

「うーん。ここで料理はまだしてないな。君も住むならきちんとリフォームしたほうがいいだろう」

「庭は結構広いんじゃない?」

「うん。広いよ。庭は家と同じ敷地面積はあるな。小さい頃、ここで兄とよく遊んだんだ」

「そうだったのね……台所を見せてくれる?」

「うん、こっちだ」

 莉愛はそこを見わたした。そして、キッチン用品も沢山あるし、少し整えれば使いやすいキッチンになると思った。

「使いながら変えていくのも楽しそう。電子レンジとか電子ポット、炊飯器なんかの家電は新しいわね。最近買ったの?」

「ああ、僕が使うから、オーブントースターやコーヒーメーカーは買い足したんだ」

「なるほどね。調理器具もフライパンやお鍋もたくさん綺麗に残っているし、生活できないわけじゃ全然ないわ」

「そう?」

「うん」

 ふたりは顔を見合わせ笑った。

「とりあえず、お休みの時徐々にしてもいい?」

「もちろん。週末に少しづつ変えていこう」

「ありがとう、でも楽しみ。あなたといつかここで始まる新しい生活」