First Last Love


「社の用事でヨットが潰れるにしちゃ声が弾んでねえか? 健司」
「そんなことがあるかよ」

その時はそう答えた。

 いや……。社の連中とボーリング、滅多にないこういうイベントは全然嫌ではない。

むしろ創業メンバーとして必要なことだと認識している。実際、俺自身参加してしまえば充分楽しんでいる。

ただ他の娯楽に対して、ヨットが俺の中では大きく優っているだけの話だ。それでいつも声に曇りが出てしまうんだろう。


それはナツや大内や寺田も同じらしく、社の用事でヨットを休む時のやつらの声音を聞いているから、その特徴はよくわかる。微妙に落ちている。


それが、声が弾んでる、だと? そんなことってあるか? 

お……?

振り向いてみると寝室のベッドの上には、クローゼットから出してきたと思しきパーカーやらシャツやらセーターが放り出されている。

俺はここで、初めてのデートに出かける前の男子中学生かのように、ひとりファッションショーを繰り広げていたらしい。


「ばかばかしい!」