わたしの喜びを純粋に自分の喜びだと感じてくれている健司。
北欧神話の巨人族、ヨトゥンの大鍋を彷彿とさせる器の大きさに、ますます参って〝大好き〟が増す毎日なのだ。
お互いがお互いを尊重でき、心から笑い合える今の関係が、幸せで、心底心地いい。
籍を入れてニ年。
仕事がひと段落ついたタイミングで、わたしは、健司の子供が欲しいと思うようになっていた。打ち明けてみたら「それは俺も欲しいよ」という返事が戻ってきた。
もし子供ができたら、小さいうちは自分の手で育てたい。
「長い育休に入ってもいい?」と聞いたら、幼い頃は母親が近くにいた方がいい、という考え方も全く同じで、一も二もなく賛成してくれる。
「でも一颯は新しいコードを思いついて、それが書きたくなると思うな。もしそうなったら、それはその時に考えよう」とも言われている。
きっとこんなにもわたしのことを理解し、認め、尊重し、柔軟に対応してくれる人は地球上どこを探してもいない。
そして健司といても、過去の辛い事故を思い出すような事態は起きない。
あれだけ苦しい体験のもととなった心配は杞憂に終わったわけだけれど、必要な事だったのだとも今だから思える。
二人の絆が確固たるものになった気がするから。
あ、健司の大怪我は断じて必要じゃない。
「お姉ちゃん、そろそろだってよ」

