First Last Love


一ノ瀬社長に至っては、赤ちゃんーー優河くんーーを抱いていて、さらには莉々ちゃんの手を引いた隣の菜々子ちゃんを気づかっている。

あれからニ年、わたしたちロサンゼルス支社の十七人は凱旋帰国した。

健司が現地の敏腕ゲームディレクター、アンドリュー・ウィリアムズを口説いてCanalsとジョブ型契約を結ぶ事に成功した。

アンドリューは世界的に成功した冒険系のRPGゲームを何作も監修している。畑違いの学習アプリに引き込めた事こそ健司の大きな手腕だ。

アンドリュー率いる数人と、ロサンゼルス支社内で各々の分野に長けた五人が中心になって作ったアプリをリリースしたところ、大当たりになったのだ。

わたしも健司もそのチームの一員だったけれど、健司は副社長及び支社長の仕事が忙し過ぎてどうにもならず、チームから離脱した。

AI診断を使ってバディを組ませ、家庭教師の先生と二人で冒険しながら英語力を磨くアプリだ。レベルが上がるごとにアイテムが獲得できたりステージが上がったりして、ゲーム感覚で楽しみながらリアル英語が上達する、と評判だ。


妥協を許さないアンドリューのもと、裏でコードを書く担当であった私は、やりがいはあったもののとてつもなく難しい技術を()いられた。

プログラマーとして、大いなる成長には繋がったと思う。


現在、月間のアクティブユーザー数は80万人を超えた。ロサンゼルス支社の十七人はこの二年、寝る間も惜しんで開発、営業、宣伝に取り組み、へとへとになっている。

それが報われて快挙になったことは言葉にできないほどの喜びだ。

日本の本社でも、幼稚園児への英語とプログラミングの学生派遣が大きく数字を伸ばし続け、アメリカ以外の海外の方も順調だ。それがまだ収益化できていない頃のわたし達の学習アプリ開発を支えてくれた。

Canalsはいまだ嬉しい成長を続けている。

アメリカでの新婚生活は、公私ともども充実し、幸せすぎて怖いくらいだった。