「ダメだよ。それこそちょっと重いから、まだ健司は持っちゃダメ。そのためにわたし一緒に来ることになったんだからね!」
「もうほぼ完治してるのになあ」
健司はわたしの過保護に、たまにため息をつく。
IPOに携わる最後の業務処理のため、ロサンゼルス支社に先に派遣された十五人より一足遅れて、健司は現地入りすることになった。
わたしはみんなと一緒に先に行かなくちゃダメかな、と思っていたけど、怪我をしている健司の付き添いが必要という無理無理の一ノ瀬社長の命令で、夫婦での渡米にさせてもらった。
自動扉が開くと、どこからともなく爽やかな潮風と、真っ青な空がわたし達を迎えてくれた。

