First Last Love


俺も辛さと幸福感の振れ幅が大きくて、感情がついていけていないのは同じだ。

「離れないでよ健司。健司と離れることが一番辛いんだって、わかって……。ちゃんと指切りしたじゃない」

 麻酔の抜けきらない手術後に、一颯ともう離れないと指切りをした。
ちゃんと覚えている。

「一颯が大事だ。一颯が一番、自分より何より一番大事なんだよ」

 一颯は、まだガーゼが留めてある、左鎖骨下の傷に指先だけ触れた。

「それもこうやって、知ることになった。でももう何があっても離れないの。わたしにとっても健司が一番大事なの。でも健司を優先するあまり、わたしが離れていったらどうする? 逆だったら?」

「ありえない。絶対に絶対に嫌だ。無理だ」

 そういうことか。

「でしょ? 健司の負けでしょ?」

「……うん」
「ずっと一緒。約束」
「わかった。約束だ」

 優しい両手が俺の頭を包み、髪をやわらかく梳く。

 一颯のパジャマのボタンを、両手を使って丁寧に外す。
こんな経験は今までに覚えがなくて、厳かな儀式のようにさえ感じる。