「迷いなんてないよ。幸せすぎて信じられないの。好きじゃない女は抱けない、って言われたのに……」
口を開いた事が刺激になって一颯の目頭から一粒、涙が流れた。
まさに砲撃だ。
「……ごめんっ。俺、何やってたんだろ。こんなに、どうしようもないほど好きなのに……一颯を傷つけて……」
首が一颯の乗る枕の横に突っ込む。
でも、愛おしくて抱きたくて抱きたくて、気が狂いそうな女にそう告げなくちゃならなかったのも、身体の感覚が麻痺するほど辛かった。
一颯の未来だけを見据える事に全ての神経を注いでいた。
だけど、どうしてあんな酷い台詞を落とせたのか、今となってはわからない。
「全部わたしのためを思っての言葉だって今はわかってる。健司と再会してまた好きになってから、辛さと幸福感の振れ幅が大きすぎて自分でついていけてないだけなの。わたしが、健司のこと好きすぎる……」
「何言ってんだよ。それは俺の方だよ」
一颯の両腕が俺の頭を優しく包む。
もうこの腕をなくせない。
なくしたら俺は壊れるだろう。
でもやっぱり一番大切なのは、俺が壊れない事じゃなくて、一颯の幸せなのだ。

