ベッドの中、薄いシーツに二人で包まれる。
俺の下にいるパジャマ姿の一颯に軽いキスをして、そっとその表情を伺う。
オレンジ色のかなり落とした間接照明の中では、一颯の顔色はよくわからないけど、とてつもなく可愛い。
愛おしさと切なさに胸が張り裂けそうになる。
一度はこの子を永遠に失う覚悟をした事が蘇ってきて、喉元に熱い液体が迫り上がってくる。
一颯が唇を振るわせ、俺から顔をわずかに逸らす。
それだけでもう不安になるのだ。またあの日のように、俺は自分の気持ちだけを押し付けてるんじゃないのか。
「一颯……」
横を向く彼女のこめかみに伸ばす自分の指が、見てわかるほど震えていた。
好きすぎて、どうしたらいいのかわからない。
人並みくらいの人数と真剣につき合い、人並みくらいの経験はあるはずなのに、湧き出す感情が初めてのものばかりで戸惑いまくっている。
横を向く一颯の瞳に光るものがある。
「なんで泣くの? まだ迷いとか、あるの……?」
あるなら抱かないよ。一颯が嫌なら、もう指一本触れない。
我慢できないと思っていたのに、一番怖いのは一颯に嫌われる事だった。一颯が辛い思いをする事だった。
それに比べれば、抱けないくらいぜんぜん何でもない。

