パジャマで出てきたら、一颯は本当にドライヤーを持ち出してきた。
髪の毛の先にヘアクリームを塗られて櫛で漉かれ、やたらぎゅーぎゅー引っ張られながら乾かしてもらっている。
「一颯、なんでそんなに引っ張るんだよ」
頭を引っ張られている方と逆に引っ張り返さないとバランスが崩れる。
「こうやるとキューティクルが揃うんだよ。サラサラになるから」
「へえ。だから一颯の髪はそんなにサラサラなんだ? 小学校の頃から髪サラサラのイメージが超強い」
「……ママがこういう乾かし方をしてた。こうしろって教えられた」
声が若干落ちる。
俺は振り向いて、一颯の手からドライヤーを取り上げると、スイッチを切った。
「ロスに行く前に、月城家もどうにかしないとな。あと、一颯の両親の墓参りも行こう」
「うん。実家は売ろうと思ってる。もうどうしようもないもん。二葉のために使う。両親もそうしろって必ず言うはずだよね。だからロサンゼルスと日本といったり来たりになっちゃうかも」
「いいよ。それは俺も同じだから、できるだけ一緒に帰ろう」
「ありがと」
「あと……」
「ん?」

