「健司、意識がしっかりしてる。今度はちゃんと起きたみたいだね。今までちょっと意識が戻ると、わたしの事を呼んでくれ、って何度もお医者さんに頼んでくれたんだって。だからわたしだけこの個室にいられるんだよ。今、先生呼ぶね」
一颯がナースコールを掴もうとする。
「いいよ、一颯。呼ばないで。二人でいたい」
「健司……」
「まだ生きていたい、って切実に思う。まだ一颯といたい。結婚して家庭作って、何十年も一緒に人生楽しんで、じいさんばあさんになって……でもできれば、最後は一緒に逝けたら、最高なんだけど」
最後かもしれないと思うと、本音が正直に出てくるものなんだな。ナツの言葉が蘇る。
〝ごちゃごちゃ考えすぎなんだよ。シンプルでいいだろ、両思いなんだからさ。問題が起こってから対処すればいいんだよ〟
そうかもしれない、と今やっと思える。
「健司。死なないよ? もう今の言葉、取り消せないからね?」
「死なないんだ? マジで嬉しい」

