いったんは大丈夫だった?
でもこれから死ぬかもしれないよな。
あれだけ血が出たし……いやここが天国の可能性だってある。
一颯が目の前にいるうちに伝えなきゃ。
少し呼吸がしやすくなってきた。
「ごめん、一颯。本心じゃないって……わかるよな? 傷つけてごめ……。別れるしかないと思ってた。好きだよ。めちゃくちゃ……好きに決まってんじゃん。……間に……合ったのかな」
「だから死んでないってば。血管や器官の縫合手術も成功して、もうどこにも問題は残ってない。……でも、めちゃくちゃ怖かった。死んじゃったらどうしよう、ってほんとに……。もう泣きすぎの顔、見られるの恥ずかしすぎる」
一颯はシーツを握りしめ、首を垂れた。その肩は震えている。
「俺、ほんとに死んでない? ここって、天国じゃない?」
「ほんとだよ。もう縁起でもないこと言うのやめてよ」
「じゃあキスして」
一颯はたいしてためらいもせず、腰を浮かせて俺の唇に自分のそれを、そっと重ねた。
「やっぱり天国なんじゃん」
「もうっ……」
久しぶりに見る俺だけに向けた自然な笑顔に、心が潤されていく。

