一颯が俺の左手を握り、ベッドの横に突っ伏している。
俺以外の患者の姿はない。
ここは病院の個室だろうか?
そっと右手を動かしてみる。
十キロのダンベルでも括り付けられているように重かった。
それでもどうにか一颯の髪に触れることができた。
反射のような動きで一颯が身を起こす。
外の街灯か何かなのか、部屋には青っぽい清潔な薄闇が広がっている。
いや、どうやら夜明けが近いらしい。
「健司。気がついた? みんな心配してるよ。でも手術の後、何度も起きてるし、安心してご家族も、社長や役員もいったん帰った」
一颯の目が真っ赤に腫れて塞がりそうだった。
俺から目を逸らすように視線を伏せる。
「俺、死んだん……ないの?」
「やめてよ。ちゃんと生きてるよ」
一颯の顔がくしゃっと歪む。
「ごめん。わたしを庇ったせいで……」
「一颯の方が大事だ……もん。一颯はどっか怪我、……ないよな?」
「うん」

