健司がわたしから離れようとしているのは、一ノ瀬社長が教えてくれたように白衣観音のせいに違いない、と自分に言い聞かせる。
健司からその話を小学校で聞き、わたしは実物が見たくて二葉と席を交代した。結果として二葉はうつ病になった。
健司は一時は勢いで抱いてしまったわたしに責任を感じて、二葉の治療にも付き合うつもりだったけれど、わたしたちに十分なお金が入った。
だから、「冷めた」と真実を話しても支障はないだろう? とそう装っているだけで、本心は別のところにあるはずだよね?
あの事故の元凶となった自分と一緒にいれば、わたしがフラッシュバックに苦しむかもしれない。
記憶を取り戻したわたしに、事故を想起させるものから遠く離れて暮らしてほしい。
それが、健司の本心だよね?
社長だってそう考えているもん。
「い……月城、それは……そういう事実もあるにはある、けど……肝心の俺の気持ちはーー」
わたしは手を伸ばし、健司の正面に薄いカードを置いた。

