泣くな! と自分に喝を入れると、声にも無駄な力が入ってしまう。
なんて可愛げがないんだろう。
「本心だよ。申し訳なかった。あれは……あの時の事は、一時の気の迷いだった」
「びゃ……白衣観音の事思い出したの」
健司が息を呑むのがはっきりわかった。
「わたし、そんなに弱くない。もう現実を知ったから、あのスライドを見た時みたいなフラッシュバックは起きないと思う。でもそれがたまにあったとしても、わたしは健司と別れたくない。別れる方がずっとずっと辛いよ。わたしの身に起こる事なんだから、選ぶのは健司じゃなくてわたしだよ」
決めてきたセリフだ。
でもこんなの「冷めた」と口にしている相手に伝える言葉じゃない。
何をお前は自惚れているんだ! と、呆れられているのかもしれない。
好かれている自信なんて、どこからかき集めても、もう微塵も出てきてくれやしない。
でも……やり遂げるんだ。

