俯くわたしの前で、椅子が絨毯を擦る音がし、目の前に誰かが腰を下ろした気配がした。
「月城。お待たせ」
白いロングTシャツを着た健司だ。
わたしの事をこんな場でも〝月城〟って呼ぶんだね。
それが健司の答え?
それは本当の気持ち?
教えてよ。
健司はホールスタッフに手を挙げて、コーヒーを注文した。
そのコーヒーが運ばれてきて、ホールスタッフが行ってしまってから、わたしは口を開いた。
「どうしてわたしを避けるの? あの時言ってくれたことと……違うよね?」
すでに震え声になりそうなところを必死で平静を装う。
「ごめん。月城。ちゃんと話してからアメリカに行こうと思ってたから、今日はちょうどよかったよ」
棒読みのような硬い口調だ。
「話?」
「俺の気持ちは……そこまで強いものじゃないと気づいたんだ。簡単に言えば冷めた。初恋の子と再会して、俺は舞い上がってただけだとわかった」
「それ、本心じゃないよね」

