だから応接室で品川に会った時も、おかしなところでうなずいてしまわないように極力下を向いて目を合わせないようにしていた。
健司はそれも見抜いていた。
あれから顧問弁護士さんは迅速に動いてくれ、今回、わたしにやらせようとして未遂に終わった悪事を公にしない代わりに、相応らしい慰謝料を品川から貰う約束を取り付けてくれた。
本当に相応なのか、ゼロの数は一目で把握できないほど多い。
それだけのものを出しても品川は、今回の件を公表されたくないらしい。
当たり前か。
その情報が出たら品川ゼミナールはおしまいだ。
それから、決してわたしには接触しないようにとの約束も盛り込まれている。
Canals……いやおそらく、健司が動いてくれなければ、わたしと二葉はいまだに品川に囚われたままだったに違いない。
今もまだ入院中の二葉は、これでよくなるかもしれない。
うつ病がそんなに簡単なものではないことは、素人ながらにそれなりに理解している。
でも治ると信じることは大切だと思う。

