父の遺言を読んだ。
叔父、品川はとにかくお金に執着する性格で、それは父の両親、つまりわたしの今は亡き祖父母もとても心を痛めていた事らしい。
当時、叔父は自分の近辺で実家が一番裕福な女性と結婚をした。
愛のない、半ば脅したような結婚で品川の家に入った。
叔父と結婚した叔母は、自分の両親が作った品川ゼミナールの受講料を勝手に引き上げたり、詐欺まがいの広告を打ったりする叔父の所業に徐々に精神を蝕まれていったそうだ。
品川の叔母は遅くに生まれた子供だった。
叔父が品川ゼミナールの経営を引き継いだ時、叔母の両親はすでに高齢で、娘婿の横暴を止めることができなかった。
わたしの父は、自分の娘達をそのような品川の叔父には、絶対に近づけたくなかったに違いない。
遺言書の中でわたしと二葉に当てて、品川とは決して関わってはいけないことがしたためられていた。
もし、自分たちに何かあった時の法的後見人の欄には、父の友達の名前が記されている。
事故当時、あの遺言書が見つかっていれば、品川はわたしを操り人形にすることができなかっただろう。
品川が探し出したかったのは、お金の入る生命保険の証書じゃなくて、両親からのあの遺言書だったのだ。
品川は、必ずそういうものがあると予測していたに違いない。
それほど両親は品川を警戒していたのだろう。

