「でも見ててさ。月城さんの方も相当に健司が好きだよね? 辛い事実があっても健司から離れないでいてくれるな、って確信したから、話しとくわ」
やっぱり、わたしと健司の関係は、一ノ瀬社長の耳に入っている。
そして社長は、今のわたし達の微妙な距離感を見抜いている?
「実際反則だとは思うよ、俺が明かしちゃうの。だけどあいつがみすみす不幸になるのを俺、指くわえて見てらんないんだよね。あいつに何度も助けられてる、ってかもう助けられっぱなしだからさ。黙ってて離れちゃったら、めちゃくちゃ後悔すると思うからさ」
「……何かあるならなんでも話してください。辛くてもわたし、ぜんぜん平気です」
理由もわからず健司にこんな態度を取られているよりもずっといい。
一ノ瀬社長はわたしの返事に少し引き締まった表情になった。
「月城さん、事故にあう直前のパーキングエリアで、どうして妹さんと席を替わったのか覚えてる?」
それは昨日、健司に聞かれたことと同じだ。
それが、健司がわたしによそよそしい態度をとっている理由?
社長は「このまま離れちゃったら」とさっき口にした。
わたしに飽きたとか一時の気の迷いだった、とかそういう事じゃなくて、それほどの理由があるってことなの?
「覚えていません。ただ、どうしてもってゴネて、父がパーキングエリアに入ってくれて、そこで席を替わったのは確かです。それがなければ二葉はうつ病になんかならなかった」

