First Last Love


次の日の午後十時少し前、オフィスに人は少なくなったけれど数人は残っている。

ガラス張りの副社長室の中でパソコンを叩いている健司を後に、わたしは席をたった。四十二階の応接室に向かう。

IDカードで中に入ると、まだ誰も来ていなかった。

健司と一番くらいに仲がいいのが一ノ瀬夏哉社長だ。

健司はわたしとプライベートでいる時、一ノ瀬社長のことを〝ナツ〟と呼んでいる。

健司が雄々しいイケメンなのに対して一ノ瀬社長は爽やかなイケメンで、二人並ぶと華やかなことこの上ない。

 そのうち廊下から話し声がし、ピっと機械音がしてから三人の男性が入ってきた。

健司、一ノ瀬社長、二人より十以上上だと思われる男性、きっと顧問弁護士だ。

「月城さん、お待たせ」

 一ノ瀬社長が軽く手をあげ、顧問弁護士さんを誘導してわたしの正面に座らせ、自分はその隣に座った。

向こう側のソファには四人くらい掛けられるからまだスペースはあった。

でも一ノ瀬社長が健司に視線で、わたしの隣に座ってやれ、と合図を送る。

同じヨットクラブに在籍していて、プライベートでも一緒にいることが多い二人だ。社長はわたしと健司の関係を知っているのかも知れない。